祖父と私と絵画のはなし

画家であり、祖父である佐藤徹のブログ。アートのこと中心です。

展覧会のお知らせ

ご無沙汰しております。


すでに色々なところで告知を出させていただいたり、ご案内のDMをお送りしておりますが、明日9/9〜9/19までの期間、静岡県湖西市のムーンシスターズさんのところで、祖父の3年ぶりの個展を開催します。


会場はギャラリー兼カフェとなっておりますので、よろしければぜひ、ご覧になってください。


それではまた!


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ご無沙汰しております。

更新がだいぶ滞り、大変ご無沙汰しております。

祖父が亡くなった後、いろいろあり、祖父の関係の方からご心配もいただきましたが、何とか孫の私は生きております。ずっと人間的活動に明け暮れてて、展覧会にもそう頻繁に足を運ぶことができず、来年はもう少し展覧会に行ったり、ブログを書く暇があればいいと思います。まあ、展覧会に足を運ばなくても、アートもデザインもあるのですけれど。

さて、来年2017年に佐藤徹の回顧展を久しぶりに開催したいと思っております。
これ以上のことはもう少し、具体的に決まったらご報告する予定です。

そのときは、どうぞ祖父の絵を楽しみにしていてください。

春の便り

ご無沙汰していました、もう2月も終わろうとしている中で、2015年初めてのアップです。。

実はもう少し暖かくなったら、展覧会へ来てくださった方を中心に、佐藤徹の絵のお便りをアトリエから絵を探して、お届けしようと思います。まあ、多分4月以降になると思います…。

あと今年は展覧会をやらないつもりでしたが、展覧会をやってはいただけないかと、三ヶ日のほうから要望があり、どうしたものかなあ?あんまり手頃な価格の小さな絵は残ってないんだけど…と思案中です。

また、決まったら、ブログに書きますね。

 

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ウィレム・デ・クーニング展

先日、八重洲ブリジストン美術館の展覧会を観てきました。抽象的で何が描かれてるのかよく分からない、でもなんか魅かれます。現代アートなのかなと最初は思ってましたが、第二次世界大戦後に抽象表現主義を先導した一人として、1904-1997まで御存命だった画家とあります。女性をモチーフにすることが多かった方なのですが、私の感想としては「おいしそう…」というものでした。
というのも油絵の具の盛り方のこってり感や、明るい色遣いが、ちょっとうちの祖父を思い浮かべるのです。子どもの頃から佐藤徹の絵を観て、特に白い絵の具が盛ってあるのを発見すると、私はケーキの生クリームを思い浮かべ、ショートケーキが食べたいなあと思ったものでした。今でも一番好きなのはぽってり生クリームの苺ちょこんのショートケーキです。ウィレム・デ・クーニングさんの絵も写真では分かりづらいですが、そんな食欲のそそる(といっていいのかどうか分かりませんが)迫力のある絵なので、ぜひ肉眼で観に行かれることをお勧めします。
あと個人的には同時に絵が掛かっていた白髪一雄さん(1924-2008)の赤や黒の絵が、初めて知って観たのですがパワフルな迫力でほうっとしました。
それと美術館内では見落としただけなのか拝見できなかったのですが、オランダ出身のピート・モンドリアンさん(1872-1994)の「砂丘」という絵が、美術館の外のショーウィンドウにコピーが飾られていて、この絵も祖父の絵にちょっと似ているんじゃないかなと思い、思わず携帯で写メに撮りました。祖父がもっと早く画家になるか、もっと長く生きていれば行き着く先はこういった抽象表現主義だったのかなあと思い、もうその作家性が追えないのが残念でなりません。
結論としては、感慨深い、いい展覧会でした。2015年1月12日まで開催されているので、ご興味があればぜひ観にいらっしゃってみてください。

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来年の予定

来年は絵の撮影と処分の年にしようと思います。今年は祖父の念願だった地中海展も出来たし、絵にまつわる祖父の遺言はあとはよくない絵の処分くらいで、祖父の思い残したことの90%は達成出来たんじゃないでしょうか。

機会があればどこかで販売を伴わない形で展覧会をやりたいとも思ってますが、私は東京に住んでるのでイマイチ土地勘がありません。静岡アートギャラリーなんかが、雨の日も屋根伝いに行けていいなあと思っていました。けど、今はなくなって静岡市美術館となっていて行ったことがないので、やっぱりよく分からないのですが、敷居が高くなったっぽいですね…。袋井市に適当なところがあればと思って、生前祖父と色々足を運んだのですが、市役所の展示室以外でいいところはなかったです。私は袋井市民じゃないので、市役所は申し込みできないですし。
昔、東京でも展覧会をやったらしいですが、絵を騙し取られたとかなんとか聞き、やっぱり東京は怖いところだと、腰が引けます。

処分する絵は祖父が晩年描いた日本の風景が主になると思います。佐藤徹の日本を描いた風景は残念ながらあまり評価されず、晩年は寂しいものでした。ムーンシスターズさんで日本の風景展をやっても多分、観覧者の足の運びは今ひとつだろうし。。中にはどうしてこの絵が売れなかったんだろう?、DMにも載った絵だったのに、と首を傾げるものもあります。孫の私から観ても、いやらしい話ですがこの絵は売れセンじゃないな…と思うものも、まああるので(でも先日の地中海の展覧会ではその予感が大いに外れたので、私の審美眼は当てになるのか大変不明です)、そういう絵は処分するか、どうしても処分が惜しければ家族や佐藤家の親戚にあげるかして、故人を偲びたいと思ってます。

浜名湖の絵は割と人気があったらしいのですが、私自身は浜名湖の絵は祖父には失礼ながらそれほど…って感じで、長崎の教会か何かを描いた絵はいいなと思ってたのに、世間からの反応は今ひとつだったらしくて、おかしいなあと思いました。
謎の、美術を扱うという団体が、こちらがお金を35万くらい出せばアメリカなどの展覧会に出させてやるという手紙やメールをもらい、私が知ってる事例の一つに選ばれた絵もその長崎の絵だったりします。
ちなみに祖父はそういう手紙はハハハと笑って、ビリビリに引き裂いてました。

それで話を戻すと、浜名湖の湖面の青さは、あの評価されている佐藤ブルーの青でしょうか?私は違うと思います。祖父の南フランスへの憧憬から生み出された産物に過ぎないのではないでしょうか?

実は祖父が80を越えた頃、もう一度2人でフランスへ絵を描きに行かないかと誘ったことがあります。祖父は暫く悩んでいたみたいで、後から長い手紙が私のところに返事が来ました。読んでみると、もうこの歳で薬や検査、また祖父は私に言いませんでしたが、今思えば入院なども起こり得る身だったらしく、そんな遠いところへはもう行けない、との返事でした。

画家の赤堀尚さんもフランスを夢見ながら、歳を重ね、若い頃に比べて不自由な身体で、あの赤いバラの絵を描いたんじゃないだろうか、とありました。画家は多かれ少なかれみんなそのようなものだから、お前が気に病むことはない、気にかけてくれてありがとうーーーとの言葉だったと思います。年老いた祖父に私も今思えば、老いるとか死ぬということが分からず、残酷な申し出をしてしまったのかなあと思います。近親者の死というものを私に初めて教えてくれたのも祖父でした…。

処分して在庫を半分以上減らすつもりでいます。祖父の描いた跡をカッターで切り裂くのは罪のない子どもの首を絞めるくらい辛いです。でも誰かがやらなくてはいけないことなので。

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百貨店で展覧会をするということ

ちょっと前になりますが、約1ヶ月前に冷やかしと肝試しと化粧品の買い物を兼ねて、新宿伊勢丹へ行ってきました。服からチョコレート一粒から、あらゆる物が大人の値段でした。エスカレーターを降りていたら、デパート内にギャラリーがあることを知って見に行ってきました。

セイ・ハシモトさんと言う方の個展が開かれていて、パリを描いたパステル画と油彩画数点があり、パステル画のほうはああ、ちゃんと描いてあるなあ、キレイだなあという感じでした。油彩画のほうが私は気に入って、シックでモダンな色遣いで、奥行きが表現され、色数抑えて描く夜の大人のパリの時間という感じが印象的でした。

それで、私がぽーっとして観ていると連れがチョイチョイとつついてくるので、何~?と思って、右を向いて見たら作曲家の小林亜☆さんが奥様らしき方とお見えになってました…。新宿伊勢丹にはよく有名人の方が来るとは聞いてましたが、ホントだった。

小林亜☆さんはささっとご覧になって、奥様がお気に召されたらしいパステル画を購入されたようでした、広くないギャラリー内を、私達より数分だけ後から来て、私達がすっかり堪能して帰るくらいの時間内に…。すごいなあ。

祖父も浜松の今はなき松菱百貨店でギャラリーをやってたこともありましたが、大体このくらいの金額が売れるという見込みがないと、百貨店では個展をさせてもらえないというルールがあったらしく、当時私は子供だったので、その頃の記憶はさっぱりですが、プレッシャーは凄かったろうなあと思います。私が子供の頃は、祖父が毎日10時くらいから昼ご飯の時間までと夕方と夕食後にアトリエにこもって、ガリガリやってたのを見ていた覚えがあります。

ああ、やっぱり新宿伊勢丹というか百貨店には魔物がいる…。

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袋井市への絵の寄贈先

佐藤徹が亡くなる直前、病院のベッドの上でお世話になった袋井市へ絵の寄贈をして欲しいと遺したので、書繪堂(ショカイドウ)さん経由で絵の設置をしたのですが、寄贈先がやっと私のところにまで分かりました。市役所の倉庫で埃でも被ることになったら、すみませんがやっぱり、絵を返して下さいと言おうかなあ…と思い悩んでいたので、ひとまずホッとしてます。

置いてある場所は袋井市内の山名小学校、周南中学校、宇刈いきいきセンター、山梨公民館、月見の里学友館の五ヶ所です。大体が100号近くのサイズで、まだ私は確認に行ってないですが、山梨公民館だけ小さめの絵が掛けてあるんじゃないかなあと思います。
また袋井市役所の4階秘書課のほうの応接室や市長室へ続く通路にも、以前に寄贈したのか分からないですが、すごい大きいというほどでもないサイズの絵が何枚か他の作家さんのものと並んでかかってます。

でも祖父の遺言も(私も)、失礼ながら絵の見方が分かるか謎な小中学生や(だって、例えばわざわざ袋井から東京八重洲ブリジストン美術館へ行って、ウィレム・デ・クーニング展を観に行きたい!と親に言う子どもが想像できないですし…)、いつ開いてるのか分からない公民館などよりは、色んな事情を抱えたお年寄りに元気を与えてあげる意味で、老人ホームなどへ寄贈して欲しかったです。欲を言えば…。

祖父の絵は観ていて元気が出る、フランスへ行って観たくなる、外国へ行った気分になるという人の心をかきたてようとする事が多いと聞きますし、実際に祖父の絵がきっかけで、パリやモンマルトルを見てきたという人が少なからずいます。

まあ、袋井市には老人ホームの施設がなかったのかも知れません。

あと更に更に欲を言えば、画歴とまでは言わないから、絵のタイトルと作者名を書いた紙の一つも付けて欲しかったです。私が行って付けてくればいいのかなあ…。

小中学校はおそらく部外者侵入禁止でしょうが、そこへ行って事情を話せばひょっとしたら現物を観せてもらえるかも知れません。でもちょっと敷居が高いなあという方のために、このブログに寄贈した絵の画像をアップしときます。ただ二枚、小さい手ごろなサイズの緑のパリの絵と大きい黄色い絵があり、それらは予定になかった絵だったのですが、なぜか持っていかれてしまったので、それだけは画像が残ってません…。

月見の里学友館は誰でも入れるし、また祖父の展覧会のときには私が数年前に「そうだ、あそこに置かせてもらえるかも」と気づいてからは、必ずDMを置かせてもらっているので、よろしければ観に行ってください。

 

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白い風景(油彩)/1040×1540mm ※月見の里に寄贈

 

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コートダジュールにて(油彩)/1050×1385mm

 

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広場(袋井駅前)(油彩)/1220×1145mm

 

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地中海(アクリル)/905×905mm ※袋井市原田市長へ寄贈

 

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海が見える街並み(油彩)/1950×1310mm

 

この最後の絵は大きすぎて、市役所の方に引き取ってもらわなかったら処分になるだろうなあと思っていて、一応あちらへ相談しましたが車に載らないとの理由で却下されてしまいました。うろ覚えですが祖父の長年の知り合いが仰るには、確か賞を獲った絵だと思ったのですが、切り裂かれる運命になるでしょうね…。祖父は最期に私に残酷なことを託したものです。