祖父と私と絵画のはなし

画家であり、祖父である佐藤徹のブログ。アートのこと中心です。

絵が上手くなりたい気持ちは分かるけど

佐藤徹は50歳で画家デビューして間もなく、絵画教室を開いていたことがあります。子ども相手にもやっていたし、浜松の某カルチャースクールや老人ホームでご年配の方向けにやっていたこともあります。そのうち二つは私も受講していました。特にカルチャースクールのほうは、オプションでフランス旅行に行けたので、まだ子どもだった私にとって貴重な経験でした。

それで絵が上手くなったかというと分からないです。ただ今でも絵をかいているとき、どこかから祖父の声が聞こえてくるようで、これでは建物が折れちゃいそうだからもっと太くしたほうがいいとか、ここはこの色だけじゃなくもっと色数を増やしてもいいとか、これは面白いねとか、そんな声が絵を描いてると耳の中に今にも聞こえてくるようです。

それで私が大きくなって思ったことは、祖父の描く絵をそっくり真似ればいいと、絵に関して安直な気持ちで教室に来る人がなんと多いことかということでした。そんなことして壁にいくら絵を飾っても、モノマネ程度の絵にしかならないのに…。

以前ですが展覧会の際、「徹先生の絵の教室に行ったが、どうにもあの線のタッチが描けなくてそれでそのまま遠ざかって行った」と私に言ってこられる方がいました。孫の私でなくて本人に直接言えばいいことだし、失礼なことを言うお婆さんがいるなと思いました。

かのサザンオールスターズ桑田佳祐さんは静岡でライブをおこなったところ、いつも通りのノリノリのサザンのライブだったのにも関わらず、お客さんのノリが悪かったために終いには怒ってしまって、それ以降静岡ではライブをやらなくなったと聞きます。静岡はそういう受け身でノリが悪く、口が悪い土地柄なんでしょうか。保守的とはよく聞きますけど。

かくいう私も5歳のときに静岡県へ引越してきたけど、そのときは大阪弁を喋っていたせいか、なんだか馴染めず、いい加減成長してからも早く実家を出たい、できれば東京など遠くに行きたいと思ったものです。

ちなみに話を戻すと祖父の絵を真似て描くのに、やはり紛い物であるというのは見てとれるけどそこそこ成功してる方もいて、でもそれで今画壇で活躍してるかと言うと、噂には聞いてこないです。祖父でなくて、シャガールでもコピーすればよかったのにと思いました。