祖父と私と絵画のはなし

画家であり、祖父である佐藤徹のブログ。アートのこと中心です。

画廊は別に怖くない。

2011年の8月、祖父がまだ元気だったとき浜松の街中で展覧会を開きました。レンタル料はかかったのですが、破格に安かったし、普通の画廊と違って絵が売れた場合の歩合制?も発生しなかったです(その貸しスペースはもう今は閉鎖されましたが)。祖父は私に展覧会の開き方を学んでもらおうという意図もあったと思います。
それで私は祖父と変わりばんこで当番をしてました。
 
私は人見知りなので、人が実際に来るとどぎまぎしてたのですが、それでも頑張って、「どちらからお越しになったのですか?」等、声かけをしていました。今思えば、音楽でもかけておけば良かったです。お客さまの中には、外国へ来たみたい!との褒め言葉もあれば、正直微妙な話を私に振ってくる方もいて、また年配の方ばかりだったので、ますますどうしていいか分かりませんでした。
あちらの方にすれば、価値の不明な(美術年鑑などで価格を付けてもらうということをしておらず、祖父の言い値だけだったので)絵を買わせられると感じて、怖かったのか、わざとアラを探して仰る方もいて、つくづく私は営業に向いてないんだなと実感しました。
 
祖父の絵の値段表はそんなに高くないと私は感じています。水彩よりやや高い油彩画で言うと、大きい絵は海外旅行へ行くくらいの値段と勇気、小さいのは東京で上から下まで服のコーデを、ビシッとキメたくらいよりやや安めの値段かな、分かりづらかったらごめんなさい。
今は絵を買う行為も描く行為も知らないという方が多いみたいです。事実、今の中学生か高校生の美術の授業の時間は、一年生のときだけでしかも、週一時間らしいです。あとは選択制だったかな?こんなカリキュラムだったら、日本の絵描き事情は将来どうなってしまうのかなあと思います。
一方、私の実家は私が幼い頃からいつも佐藤徹の絵画が飾ってありました。実は、一般の家庭では壁に絵が飾ってないほうが普通だと最近まで知らないでいました。
 
展覧会のだいぶ後に、銀座の日動画廊で観てみたいと思う作家の絵があって、行ってきました。画廊の方に身なりからして買ってくれないだろうと思われたかどうかは不明ですが、特に話しかけてくることもなく、ゆっくり絵画を堪能することができました。ちなみにさすがに価格は銀座のお値段で私にはとても買えません。外国人の観覧者もいらっしゃって、私と友人に何か質問されたのですが、そのとき画廊の方が素早く、流暢な英語で対応されてて、凄いな〜と思いました。
 
浜松と銀座では比べるべくもないのですが、私もただガードマンのように立ってれば良かったのかなあ。その後も一回行きましたが、日動画廊は店舗の構えが銀座にあるだけあっていかめしく、入るのに多少どぎまぎしますが、いい絵が飾ってあることが多かったです。ただ、売れる絵を飾ることをバリバリにやってる画廊なので、もともとの値段が凄いし、歩合率は画家の側からすれば、画廊側が破格に高いらしいです。
 
祖父は売れ筋をマーケティングしたような絵は描かないぞと意気込んで描いてたので、私もあまり絵を絶対売らなきゃと思わず、のんびりやっていきたいと思っています。
 
この秋にぜひ画廊に絵を観に行ってみてはいかがでしょう。